将来かかるかもしれない医療・介護費用を知って保険を見直し 年間7万円削減できた私の体験談
年金生活で感じる保険料の重みと将来の不安
会社を退職し、年金生活に入って数年が経ちました。現役時代に比べて収入が減ったことで、毎月の支出を見直す日々です。食費や光熱費、趣味にかかる費用など、様々な項目がありますが、中でも家計にとって大きな負担となっているのが、毎月あるいは毎年支払う「保険料」でした。
若い頃や働き盛りの頃に加入した保険がいくつかあり、特に深く考えることなく続けていました。しかし、年金収入だけになった今、これらの保険料が家計を圧迫しているように感じ始めたのです。
さらに、年齢を重ねるにつれて、将来の健康に対する不安も大きくなってきました。もし病気やケガで入院・手術が必要になったら、あるいは介護が必要になったら、どれくらいのお金がかかるのだろうか、今の保険で本当に十分なのだろうか、といった漠然とした不安が頭から離れませんでした。
この「保険料の負担」と「将来の健康不安」という二つの悩みを同時に解決したいと考え、私は自分の保険を見直すことにしたのです。
不安を解消する第一歩:将来かかるかもしれない費用を知る
保険を見直そうと思ったものの、何から手をつければよいのか分かりません。保険証券を見ても専門用語が多く、内容を理解するのも一苦労です。しかし、ただ漠然と「保険料を減らしたい」と考えるだけでは、必要な保障まで削ってしまい、かえって将来困ることになるのではないか、という心配もありました。
そこで、私はまず「将来かかるかもしれない医療費や介護費」について調べてみることにしました。もちろん、将来のことは誰にも正確には予測できません。しかし、公的な制度や一般的なデータを知ることで、ある程度の目安はつけられると考えたのです。
調べる中で分かったのは、主に以下の点でした。
- 高額療養費制度: 日本には、医療費の自己負担額に上限を設ける「高額療養費制度」というものがあります。所得に応じて月の自己負担上限額が決まっており、それを超えた分は払い戻される仕組みです。これを知り、入院や手術で医療費が高額になっても、公的な制度である程度カバーされることが分かりました。
- 公的介護保険: 40歳以上になると加入する公的な介護保険制度です。要支援または要介護の認定を受けると、介護サービスの費用の自己負担が原則1割(所得によっては2割または3割)になります。
- 医療費や介護費の平均: 厚生労働省などの統計を見ると、高齢者の医療費の平均や、介護にかかる一時金や月額費用の平均などが公表されています。これらの数値はあくまで平均ですが、自分がどのくらい準備しておけばよいのかを考える上で、参考になりました。
これらの情報を得ることで、漠然とした不安が少しずつ具体的なイメージに変わってきました。「公的な制度でカバーされる部分がある」「平均的な費用はこれくらいか」と目安ができたことで、今の自分に必要な保障額を冷静に考えることができるようになったのです。
将来の費用目安から見えた「ムダ」と見直しの方針
将来かかるかもしれない費用について調べた結果、私の場合は、過剰な保障になっている部分や、今の自分には必要ない保障があることに気づきました。
例えば、医療保険です。高額療養費制度があることを考えると、現役時代に加入した手厚い保障は、必ずしも現在の年金生活に見合ったものではないと感じました。特に、入院給付金の日額や、保障期間などが、今のライフスタイルや公的制度でカバーされる範囲を考えると、少し手厚すぎるかもしれない、と思ったのです。
また、加入している生命保険についても考え直しました。子どもたちはすでに独立しており、大きな死亡保障はもう必要ありません。もしもの時の葬儀費用程度が準備できていれば十分ではないか、と判断しました。
このように、将来かかるかもしれない費用を知ることで、「本当に必要な保障は何か」「逆に今の私には不要な保障は何か」が明確になりました。これが、具体的な保険見直しのスタートラインとなりました。
私が実践した保険見直しと削減効果
具体的な見直しは、以下のステップで進めました。
- 加入している保険の確認: まずは、自宅に保管してあった保険証券を全て引っ張り出してきました。契約内容を一つずつ確認し、どのような保険に、いつ加入したのかを整理しました。パンフレットや契約時の資料もあれば一緒に確認しました。
- 保障内容の把握: 保険証券に記載されている「主契約」や「特約」の内容を丁寧に読み解きました。分からない専門用語はその都度調べ、どのような場合にいくら保険金や給付金が支払われるのかを把握しました。この段階で、過去に加入した際に「なんとなくつけた」特約が、今の自分には不要だと気づいたものがいくつかありました。
- 見直しプランの検討: 将来かかるかもしれない費用の目安と、現在の保障内容を比較し、「削れる部分」「残すべき部分」「足りないかもしれない部分(今回は特にありませんでしたが)」を検討しました。私の場合は、医療保険の入院給付金日額の減額や、生命保険の死亡保障額の減額、そして不要な特約の解約が主な候補となりました。
- 保険会社への連絡・手続き: 見直しプランが決まったら、保険会社に連絡を取り、手続きを進めました。保険証券に記載されているお客様相談窓口に電話で問い合わせました。電話で契約内容の確認や、減額・解約の手続きについて質問し、必要な書類を送ってもらいました。手続き自体は、書類に記入して返送する、という比較的簡単なものでした。オンラインでの手続きも可能でしたが、私は書類で行う方が安心でした。
この見直しを行った結果、毎月支払っていた保険料を大幅に削減することができました。具体的には、年間で約7万円の保険料削減に成功したのです。
見直しを終えて感じたこと
年間7万円という金額は、年金生活においては非常に大きな金額です。この削減できた保険料を、趣味に使ったり、万が一の時のための貯蓄に回したりと、より有効に活用できるようになりました。
もちろん、単に保険料が安くなっただけでなく、将来かかるかもしれない費用について自分で調べ、理解した上で見直しを行ったため、現在の保障内容に納得感があり、将来への漠然とした不安も軽減されました。
「保険は難しい」「よく分からない」と敬遠していた私でも、将来の費用を知るという具体的な目的を持つことで、一つずつ確認しながら見直しを進めることができました。
もし、年金生活で保険料の負担を感じている方や、将来の医療・介護費用に不安を感じている方がいらっしゃれば、まずは公的な制度や平均的な費用について少し調べてみることから始めてはいかがでしょうか。それが、ご自身にとって本当に必要な保障を見極め、無理なく保険料を削減するための一歩になるかもしれません。複雑だと感じる場合は、保険会社の窓口や、お近くの保険相談サービスなどを利用するのも良い方法だと思います。専門家のアドバイスを受けることで、安心して見直しを進めることができるでしょう。