複数の保険を「見える化」したら年間10万円削減！私の整理術
退職して気づいた、保険の「書類の山」と不安
長年勤めた会社を退職し、年金生活に入ってから、真っ先に気になり始めたのが毎月口座から引き落とされる保険料のことでした。現役時代の収入があった頃は、正直あまり深く考えずに支払っていましたが、年金だけになると、固定費である保険料の負担がずっしりと重く感じられるようになりました。
加えて困っていたのは、自宅に届く保険会社からの書類です。若い頃に加入したもの、子供が生まれた時に見直したもの、会社の団体保険から切り替えたものなど、気づけば何社からも書類が届くようになっていました。保険証券を見ても、いつ加入したのか、どんな保障内容なのか、今の自分に必要なのかどうかが全く整理できていませんでした。
このままにしておくのは不安だし、何より無駄な保険料を払っているのではないか、という疑問がずっと頭の中にありました。
まずは「見える化」から始めた保険整理
一念発起して保険の見直しをしようと決めたものの、何から手をつければ良いか分かりません。まずは手元にある保険に関する書類を全て集め、ダイニングテーブルの上に広げてみました。
出てくるわ出てくるわ、ファイルに無造作にしまっていたものも含め、かなりの量の書類が出てきました。保険証券、契約内容のお知らせ、更新通知、約款など、種類もバラバラです。
これを一つずつ見ていくのは大変だと感じた私は、簡単な表を作って整理することにしました。項目は「保険会社名」「保険の種類（生命保険、医療保険など）」「加入時期」「毎月の保険料」「主な保障内容（死亡保障いくら、入院日額いくらなど）」「保険料の払込期間」。
最初は面倒に感じましたが、一枚ずつ保険証券を見ながら表を埋めていくうちに、だんだんと全体像が見えてきました。これが私が行った「見える化」の第一歩です。
見える化で分かったこと：重複と時代のズレ
表が完成して全体を眺めてみて、いくつかの驚きがありました。
一つは、医療保険に複数加入していたことです。若い頃に加入した医療保険があるのに、確か、数年前にテレビCMで見た新しい医療保険も良さそうだと思って加入していたことを思い出しました。それぞれに入院日額や手術給付金などの保障がついていましたが、冷静に見ると、保障が重複している部分がありました。もちろん、手厚い保障は安心に繋がりますが、今の私の生活状況で、これほど重複した保障が必要なのか、疑問が湧きました。
もう一つは、加入時期が古い保険の保障内容が、今の医療事情や公的な保障制度と少しズレているのではないか、ということです。例えば、入院日数が短くなっているのに、長期入院に手厚い保障内容になっていたり、高額療養費制度などの公的な保障があることを考慮すると、民間の保険で備えるべき範囲はどこまでか、という視点が抜けていました。
そして、最も衝撃だったのは、全ての保険料を合計した金額です。現役時代は気にならなかった金額も、年金収入で見ると、かなりの割合を占めていることが分かりました。
具体的な見直しと削減できた方法
「見える化」で現状を把握した私は、いよいよ具体的な見直しに進みました。いくつかの方法を検討しましたが、最終的に以下の点に絞って見直しを進めました。
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重複していた医療保険の整理: 加入時期が新しい方の医療保険は、比較的最近の医療事情に合わせた内容になっていました。一方、古い方の医療保険は、保障内容も古く、保険料も割高に感じられました。保障内容を慎重に比較検討し、重複部分が多い古い方の医療保険を解約することを決めました。
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過大な死亡保障の見直し: 子供が独立し、持ち家のローンも完済した今、私が死亡した場合に残す必要のある金額は、現役時代に比べて大幅に減っています。このため、加入していた生命保険の死亡保障額を減額しました。保障額を減らすことで、保険料の負担を大きく減らすことができました。
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特約の見直し: 保険証券をよく見ると、様々な「特約」が付いていることに気づきました。中には、私のライフスタイルや年齢を考えると、今はもう不要と思われる特約もありました（例：特定疾病の保障だが、既に他の保険でカバーできている、など）。これらの不要と思われる特約を解約しました。特約一つ一つの保険料は小さくても、積み重なると意外な金額になります。
これらの見直しを進めるにあたり、自分一人で判断するのが不安な点については、加入している保険会社の担当者に電話で問い合わせをしたり、中立的な立場でアドバイスをくれる保険相談窓口を利用したりしました。専門家に話を聞くことで、保障内容の意味や、見直しによるメリット・デメリットを理解しやすくなりました。無理に難しいオンライン手続きなどはせず、電話や対面での相談を活用しました。
見直しの結果と得られた安心感
これらの見直しを行った結果、年間で約10万円もの保険料を削減することができました。これは年金生活者にとって、家計にとって非常に大きな助けとなります。
保険料の負担が減ったことだけでなく、保険の内容がすっきりと整理され、自分がどんな保険に加入しているのか、どんな保障があるのかを正確に把握できるようになったことが、何より大きな安心感に繋がっています。もう、あの「書類の山」に困惑することもありません。
私の経験から言えるのは、退職などを機にライフスタイルが変わった時こそ、保険の見直しに最適なタイミングだということです。そして、複雑に感じられる保険も、「見える化」して一つずつ整理していくことから始めれば、決して難しいことではないということです。もし私と同じように、複数の保険の書類に困っていたり、保険料の負担に悩んでいたりする方がいれば、まずは手元の保険証券を集め、「見える化」から始めてみることをお勧めいたします。必要な場合は、専門家のアドバイスを借りることも、有効な一歩となるでしょう。